研究内容


21世紀は水の世紀と呼ばれています。世界の人口増加に伴い世界各地で水不足や水質汚濁による人類への被害が増大する危険性が高まっています。当研究室では有限の水資源を人類が持続的に利用していけるよう、水環境に関する基礎的な研究、水環境を改善するための研究を幅広く実地しています。


水環境に関する基礎的な研究

1. 富栄養化による水質悪化

藻類の大量増殖により湖の水面が緑色になるといった環境問題(アオコ)が起こっています。ダムなどの水源地でアオコが発生すると、我々が口にする飲料水に有毒物質やかび臭物質が混入するといった問題が生じます。日本では浄水場において適切な処理が行われていますが、国外ではいまだ十分な水処理が行われていない地域もあります。また、有毒物質(ミクロキスチン)は主に水面が緑色になる原因の一つである藍藻類により作られ、かび臭物質は、藍藻類と泥の中に生息する放線菌が発生要因の一つであることがわかっています。当研究室では、藍藻類や放線菌がどんな時に物質を産生するのか?といった発生メカニズムの解明を行い、水質汚濁が顕著な水源地の水環境の改善を目的とした研究に取り組んでいます。
霞ヶ浦で発生したアオコ(2011年7月)



2. 微生物と地球温暖化の関係

近年、地球規模での温暖化現象の進行により、地球上の物質循環の均衡が崩れる可能性が指摘され、大気や陸域のみならず海洋・湖沼においても詳細な炭素循環プロセスの把握が求められています。これまでの研究から、環境中には二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスを食べる(取り込む)微生物がいることがわかっています。当研究室では、微生物がどのくらいの量の炭素を取り込むのか?大気海洋の物質循環にどの程度寄与があるのか?といった、現在の物質循環における微生物の立ち位置の把握を目的とした生態学的な研究に取り組んでいます。研究は主に、駿河湾や北極海を対象に行っています。

北極航海(2010年9-10月)での海水サンプリングの様子
当研究室では過去に複数回北極航海に乗船

 


水環境を改善するための研究

1. 生物膜処理を用いた水質改善

我々の研究室のこれまでの研究から、水環境中には、有毒物質であるミクロシスチンやかび臭物質を分解している微生物がいることがわかっています。これら微生物の機能を利用して水処理を行うため、生物膜処理法を用いた水質浄化を行っています。自然の自浄作用を利用していることから、環境調和型の水処理手法と言えます。当研究室では、微生物による有毒物質、かび臭物質の分解過程をより正確に明らかにすることで、微生物の機能を高効率に利用したよりよい浄水処理技術の構築に取り組んでいます。
生物膜処理で用いられているハニコミチューブと呼ばれる担体。中には生物膜がぎっしりと付いており、ここに住んでいる微生物が水処理を行う    


2. 電解酸素場曝気による水質改善

ダムなどでは、水源環境を好気的に保つ手法として、空気を送り込む空気曝気があります。しかし、設置・維持管理のコストが高く、簡単に導入できるものではありません。本研究室では、水の電機分解で出た酸素を用いて曝気する新たな技術を開発しています。この電解酸素を使って、低エネルギーな水処理を実現できないかと、研究に取り組んでいます。

水の電気分解によって発生した酸素を利用して、環境浄化に利用